チェルシーの強固な守備は弱点だらけ!?その攻略方法とは【現状把握編③】

チェルシーの強固な守備は弱点だらけ!?その攻略方法とは【現状把握編③】

 

これまでチェルシーの守備の特徴を2点述べてきた。

チェルシーの守備は3バックではなく5バックである。
チェルシー各選手の守備は積極的である。

本稿ではこの2点が実際にどういうメリット/デメリットを
もたらすのか、より一般的である4バックとの比較を用いて
説明していく。

 

[①ー1]4→5バックに変わったことによる守備的なメリット

当たり前ではあるものの、5バックとは、4バックと比べて最終ラインの人数が一人多いということである。
それも最終"ライン"であるわけだから、横方向(タッチライン方向)に
一人多い。
つまり、相手のサイドからの攻撃に対して強いということである。
そんな単純でいいのか!?という意見もあるかもしれない。
しかし、4バックという布陣は、現状の選手の運動能力(スピード、スタミナ)とボールスピードにおいて、サイドtoサイドを守りきる為に、必ず"スライド”(チーム全体がボールサイドに寄る)が必要になる。

もし、これを怠ると、サイドチェンジされただけで、自陣ががら空きになるか、或いは選手間の距離が離れすぎ、ゴールに直結するようスルーパス(DFラインの間を通るような)やドリブル(カバーがいない為、一人抜かれるだけで大ピンチ)を簡単に許してしまうことになる。

しかし、5バックの場合、横方向に一人多いことで、このスライドの必要性が小さくなる為、相手のサイドからの攻撃に対して強くなるのである。

例えば、相手が右サイドに展開した時に、中央にいた選手がスライドして
ボールホルダーにアプローチするより、右サイドにいる選手がアプローチしたほうが、当然速く、厳しいプレッシャーをかけることができる。

もっといえば、スライドの必要性が小さくなることで、スライドすることによって生じるスキが小さくなる。
そのスキとは、選手がボールサイドに寄ろうと移動することで生じる、
・マークの受け渡しミス(或いは相手選手を見失う)
・選手間にギャップを作ってしまう(ポジションニングミス)
である。

現状のチェルシーの他クラブに比べて失点数が少ないのはこのメリットの働きによるものであると私は考えている。

 

[①ー2]4→5バックに変わったことによる攻撃的なメリット
①ー1で記述したような守備的なメリットはもちろん攻撃にも良い影響を及ぼす。4バックではスライドによって相手のサイド攻撃に対応する必要がある為、必然的に、相手選手がサイドでボールを持ったとき前方が開けている状態が少なからずあることになる。
すると、守備時の移動ベクトルは空いたスペースを守るために、自陣方向を向いてしまう。
しかし、5バックの場合相手がサイドにボールを展開したとしても、スライドをせずとも、サイドに選手がいる為、移動ベクトルはボールに向かっていく、つまり、前方を向いて守備ができる。

すると、ボールを奪った時に、チーム全体が前を向いた状態である為、タイムロスが少なく、相手がより準備できていない状況でカウンターできる。
つまりは得点を奪う確率が増えるのである。

現状チェルシーがカウンターによって多くの得点を奪うことができるのは選手の特徴のみならず、5バックという戦術が大きく寄与していると考える。

ー次項へ続くー